永腐門樋

更新日:2021年04月01日

農業排水として作られたレンガ造りの永腐門樋の写真

 永府門(えいふもん)樋(ひ) -町指定建造物-
 所在地:比企郡吉見町大字西吉見357番地先

 永府門樋は、近隣の水田への水源として、明治34年に市野川と農業用水との交点に造られた。煉瓦造の樋門等は、川の水を利用して灌漑や用水を行うため、また、内水排除や逆流防止の役割をする制水施設の一つとして、明治から大正にかけて築造された。埼玉県には、この煉瓦樋門等の施設が全国的に見ても特に多く、地域的な特色となっている。これは深谷市の上敷免に日本煉瓦製造株式会社が渋沢栄一の誘致により設立され、近代のハイテク産業としての煉瓦製造が埼玉の地場産業として発達していったことと密接に関連すると言われている。平成12年に「彩の川研究会」から報告された資料によれば、明治20年から大正10年に県内に築造された煉瓦樋門等は206箇所で、そのうち現存するのは僅かに52箇所となっている。 水路幅が5メートル前後で、明治20年から30年前半ごろに造られた樋門は、開口部がアーチ型になるのが一般的である。明治34年築造の永府門樋は、アーチ型から桁型に移り変わる時期の例で、アーチ型の特徴(意匠性)と桁型の特徴(施工性・実用性)を合わせ持っていると言える。アーチ型から桁型への移行は、樋門の施工を容易にし、より実用性を重視したことによるが、それに伴い意匠性が乏しくなる。しかしながら、永府門樋は石材部と煉瓦積部との調和が良く、また角だしと呼ばれる装飾も認められる点で意匠的に大変すぐれており、県内でも桁型樋門で比肩するものは見当たらない。また、近年の開発によって多くの樋門が取り壊されるなか、桁型2連構造の樋門で現存するのは唯一である。

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